2026年5月9日、第52回読書ミーティングを、三鷹駅前のSHOMA会議室とオンラインをつないだハイブリッド形式で開催しました。
福岡から初参加のKさんも加わり、参加者は総勢10名。
今回から、その内容を5回に分けてご紹介します。
第1回は、今回取り上げる作品をどのように選んだのか、その経緯から始めます。
参加者の顔を思い浮かべながら選ぶ
SHOMAは毎回、読書ミーティングで何を取り上げるか、さまざまな角度から調べ、考えます。
まず、SHOMAが気になっている本を挙げ、ベストセラーランキング、書店店頭での盛り上がり、新聞や雑誌の書評、SNSでの反応などを確認しながら、少しずつ候補をしぼっていきます。
そして最後は、読書ミーティングに集まってくださる皆さんの顔を思い浮かべます。
この本を紹介したら、皆さんは面白がってくれるだろうか。
どんな意見が出て、どんな対話が生まれるだろうか。
そこまで考えていると、やがて「今回はこれだ」という本が、自然と浮かび上がってきます。
逆に、迷っている間は無理に決めません。開催前日まで決まらなかったこともあります。
今回は、比較的すんなりと三つの作品が決まりました。
今が旬のベストセラー・ノンフィクション
『大河の一滴 最終章』五木寛之

最初に決まったのは、五木寛之さんの『大河の一滴 最終章』でした。
第52回読書ミーティングの約3か月前、2026年2月12日に発売され、4月には発行部数16万部を超えていました。
前作『大河の一滴』は累計320万部のベストセラーです。それから約30年を経て、93歳になった五木寛之さんが書いた「最終章」です。([幻冬舎][1])
私には、前作で語られていた「大河の流れに身をまかせ、自分の死を受け入れる」という姿勢が、今回の作品では、
「ときには流れに逆らってでも、一日でも長く生きよう」
という姿勢へ変化したように感じられました。
なぜ、五木さんの考え方は変わったのか。
長く生きるとは、誰のために生きることなのか。
そのことを、皆さんと話し合ってみたいと思いました。
今が旬のベストセラー・フィクション
『イン・ザ・メガチャーチ』朝井リョウ

2作目は、朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』です。
2025年9月に刊行され、2026年4月には本屋大賞を受賞。受賞時には累計発行部数50万部を突破していました。まさに、今の時代を代表するベストセラー小説です。
実はこの本は、発売当初からよく売れており、非常に現代的な作品だと感じていたため、SHOMAはすぐに読みました。
そして、前々回、前回の読書ミーティングでも取り上げることを考えました。
ところが、最後のところでためらい、選書から外しました。
なぜか。
間違いなく優れた作品だと思いながらも、SHOMAは、どうしてもこの小説を好きになれなかったからです。
その理由については、別の機会にあらためて書いてみたいと思います。
しかし今回、本屋大賞を受賞し、おそらく2026年を代表する一冊になるであろうことを考え、自分の好みとは別に、時代が強く支持している作品として、正面から向き合ってみようと思いました。
好きになれない作品だからこそ、ほかの人の意見を聞いてみたい。
読書ミーティングで取り上げる意味は、むしろそこにあるのではないかと考えたのです。
時代や国境を越えて読み継がれるロングセラー

谷川俊太郎の詩『朝のリレー』『春に』『二十億年の孤独』
三つ目は、谷川俊太郎さんの詩です。
前回の第51回読書ミーティングでは、時代を超えて読み継がれるロングセラー『思考の整理学』を取り上げ、「AIと人間」について考えました。
AIは忘れない。人間は忘れる。
AIはすぐに答えを出す。人間は先延ばしにし、いったん寝かせる。
AIは整理する。人間は整理しきれないものを抱えたまま生きる。
AIは正確で速い。人間は曖昧で、回り道をする。
けれども人間は、忘れたり、寝かせたり、回り道をしたりすることで、物事の本質に気づくことがあります。
問題の答えを出すだけではなく、問題の立て方そのものを変えることもできます。
AIと比較することによって、逆に人間のよさや面白さが見えてくる――。前回のこの試みは、参加者の皆さんにも大変好評でした。
そこで今回は、さらに一歩進めて、
「AIには書けない言葉とは、どのような言葉なのか」
を考えてみることにしました。
手がかりに選んだのが、谷川俊太郎さんの『朝のリレー』『春に』『二十億年の孤独』の三編です。
AIにも同じ題名で詩を書いてもらい、谷川さんの詩と比べてみます。
谷川俊太郎の言葉は、なぜこれほど人の心に残るのか。
谷川さんの詩は、AIが生み出す整った言葉と、どこが違うのか。
その違いを皆さんと一緒に考えてみたいと思いました。
こうして、第52回読書ミーティングでは、
* 生きること、死ぬことを見つめる『大河の一滴 最終章』
* 現代の生の熱狂と孤独を描く『イン・ザ・メガチャーチ』
* AI時代における人間の言葉を考える谷川俊太郎の詩
を取り上げることになりました。
一見すると、まったく異なる三つの作品です。
しかし、その根底には、
「今、私たちはどう生きるのか」
「人間にしかできないことは何か」
という、共通した問いがあるように思います。
次回からは、実際の読書ミーティングでどのような話が交わされたのか、作品ごとにご紹介していきます。

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